今月5日、予定通り手術が行われる事になり、お昼前に病院へ連れて行きました。
先生からいくつかの説明を受け、私達は手術が終わった頃にまた来る事にして、一旦帰宅しました。
直ぐに手術が行われる訳ではなく、保護してから二週間程経過しているので、再度レントゲンや血液検査、尿検査等をして頂き手術が始まったのは午後2時半頃だったそうです。
当初先生は、1時間半くらいの手術を予定していたそうですが、結局他の病院からも一人獣医師の応援をお願いし、5時間半の大手術になりました。
病院からの連絡がない事にしびれをきらし、不安を抱えながら私達が病院に到着したのが夜7時、それから待つこと1時間ようやく手術が終わり、術後レントゲンを撮り終え、まだ麻酔で朦朧としているタンタンの姿に会えました。
先生のお話では、一ヵ所の大きな骨折部分が二週間前よりも更に内臓側に僅かではありますが入り込んでいた事や、反対側の骨盤の脱臼があった事や、骨と骨のつなぎめの小さな骨が神経に触れているので切除した事等、予想外の大手術になった経緯について説明を受けました。
しかし何とかタンタンも大変な手術に耐えてくれて、本当に安堵しました。
先生も長時間の手術のため疲労困憊のご様子でしたから、翌日お見舞いに来る事を約束し、タンタンに声をかけその日はそれで帰る事にし、まだ途中になっていたご飯やりを終え帰宅しました。
翌日朝8時半、病院からの電話に一瞬嫌な予感がよぎり、恐る恐る出ると…。
『朝早めに来てみたら、タンタンの息がありませんでした』と先生からの一言に愕然とし、その後何を話したかもあまり覚えていません。
とにかく知人にも連絡をと思いましたが、自分の気持ちを落ち着かせるまでに時間がかかり…。
やっと連絡する事が出来、パニックになった頭で何とか、発泡スチロールと保冷剤を持参し、病院へ駆け付けました。
そこにタンタンはいました。
病院のスタッフさん達がキレイにして下さって、お花も添えて頂いて…。
涙が溢れるのを必死でこらえ、先生の説明を受けたのですが、先生も何が原因で死に至ったのかわからないとおっしゃっていました。
手術前の血液検査で、二週間前より白血球の数値が高くなっていた事や貧血、あれだけ食べていたのに800gも体重が減少していた事等、心配な事はあったのですが、手術を乗りきれない程の数値ではないと判断し挑んでくださったのだと思いますし、亡くなった後も原因を調べるため残ったタンタンの血液を使って別の血液検査もして下さったそうですが、やはりこれと言って原因は掴めませんでした。
先生は私達に謝って下さいました。
術後に病院で亡くなった子は初めての経験ですが、明らかな医療ミスでもない限り、謝る先生はいないと思います。
それはこの先生のお人柄だと思います。
私は先生に、『謝らないで下さい、先生がタンタンのために最善を尽くして下さった事は十分に分かっていますし、他の病院では受けさせる事の出来ない手術をして下さって感謝しています』とお伝えしました。
タンタンを連れて帰って来ました。
私はタンタンが亡くなってからずっと自分を責めていました。
リスクはあっても受けさせなければならない手術であった事、これを乗り越えなければと言う思い、タンタンが元気になって歩ける様になる…それだけを信じ強く強く願って決断した手術でした。
良くなる事しか考えていませんでした。
しかし、タンタンの事故の衝撃と精神的ショックは、私の想像を遥かに越えるものだったのでしょう。
タンタンはすごく物凄く頑張って私達の気持ちに応えてくれました。
そんなタンタンに、結果私は更なる耐え難い苦痛だけを与えてしまったのではないか…。
でもあのままでは…。
そんな思いが交互にやって来て、未だ何がどうする事がタンタンにとって最善だったのか答えを出せずにいます。
これはきっとタンタンにしか分からない事なのでしょうね。
だから考える事をやめました。
ただ、タンタンが事故に遭い手術をしその後亡くなった事実だけは変わりません。
私は亡くなった子の写真を撮る事はしませんでしたが、あえて撮らせて頂きました。
それは、この様な辛い思いをする猫も人間も増やしたくないからです。
タンタンは外暮らしの猫だから関係ないと思わずに、飼い猫であっても飼い主のちょっとした不注意でこうなる事も有り得るのだと、思って頂けたらと思います。
今回のタンタンの事では、本当にたくさんの方に助けられお世話になりました。
タンタンを二週間預かって下さった知人、良心的な金額で手術を引き受けて下さった病院の先生他スタッフの皆さん、手術に必要な機材を貸して下さった病院様、応援に駆け付けて下さった獣医師、ブログでタンタンの事を知り多大なるご支援と力を下さった小西ご夫妻、タンタンの事を心配して下さった皆様…本当にありがとうございました。
私一人では何も出来ずもっと辛い目にあわせていたかも知れません。
本当にありがとうございました。
手術前日、日に日に慣れ顔もだいぶ穏やかな表情に変わり、撫でるとゴロゴロと喉を鳴らし、顎を上げて催促をする程でした。
亡くなってからも左右両側の縫い目からは微量ながら出血がありました。
もし、皆様のお知り合いに安易な考えで飼い猫を外に出している方がいらしたら、是非タンタンの事をお話してあげて下さい。
それと、もう一つ皆様には辛いご報告があります。
低体温で病院に運ばれた子猫ですが、それから一週間後に体温も戻らず息を引き取ったそうです。
子猫を拾った若いカップルは、私が子猫をさすったりその場に居合わせた皆が病院探しをしている時に、俺帰ろうかなとか、どっかに置いて来ようかなと言っていたので、その後の子猫の事が心配でしたが、一週間きちんとお世話して看取ってあげたそうで、少し安心しました。
子猫が亡くなった事は残念ですが、その若いカップルは周りの大人達の子猫の命を救いたいと言う思いと行動力に良い影響を受けた事は確かです。
だからこそ、きちんとお世話して助けたいと言う気持ちが強くなったのだと思います。
今の日本の教育を映し出している様でした。
大人がきちんとどんな小さな命でも邪見に扱わず尊重する態度を子供達に見せていれば、子供達だって命を粗末に扱う事はないでしょう。
逆に、野良猫だからと言う理由だけで虐めたり邪魔者扱いすれば結果、子供達もそうなって当たり前です。
そうなってからでは遅いのに、いつ気がつくのでしょうか…。